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百年戦争


王位継承問題に端を発した、イングランド王国とフランス王国の争いは、長きに及んでいた。
互いに強大な2国の力は拮抗し、容易な決着を許さなかったのである。
両国の騎士や兵士にも疲労は色濃く、結果、戦場の主役は傭兵へと移り変わろうとしていた。


金次第で敵味方を入れ替える傭兵は、いまだ蔑視の対象となりつつも、何物にもとらわれない自由を持ち、実力さえあれば、富も名声も手に入れる事ができた。
何かを成さんとする者にとって、戦争は、混沌と荒廃のみならず、無限の可能性ももたらしたのである。


そして、今また、一人の傭兵が戦場に足を踏み入れた。
その目の先にあるのは、富か名誉か、あるいは―――


黒太子エドワード


膠着する戦線を打破せんと、大陸に降り立った黒太子エドワードは、天与の軍才を遺憾なく発揮した。
その黒甲冑の行くところ、イングランド軍は勝利を重ねていった。


しかし、戦争の早期決着を望むイングランド王は、より大きな勝利を求めていた。
そして、フランス王を挑発し、決戦へとおびき出すため「騎行戦術」を取ることを決定する。
敵国の集落を蹂躙するこの戦術は、民への被害もまた大きいものだった。


黒太子エドワードは、戦争の現実に思い悩む。
「イングランドの戦いは、誇りあるもののはず。だが、この戦術は―――」
気高い理想は、その行方を求め、惑っていた。


ジャンヌ・ダルク


フランス王国の東の端に、ドンレミという小さな村がある。
その村には、正義感の強い、一人の少女が住んでいた。
あるとき、彼女の村がイングランド軍の襲撃を受ける。
少女は、手に慣れぬ剣を取り、大切な村を守るために戦った。


しかし、無力な手で守れたものはわずかでしかなかった。
少女は祈った。
「大切なものを守る力が欲しい」と―――
それが、「奇跡」の始まりだった。


オルレアンの街は、イングランドの大軍に包囲を受けていた。
街を守るフランス軍は、武名高いラ・イールを擁するも、
四囲を砦に囲まれては、援軍を待って防衛を続けるしかなかった。
長引く防戦は、疲労とあきらめの空気を生んでいた。


そんな中、白銀の鎧を身にまとい、決然と馬を進める少女の姿があった。
「前へ進む勇気がなければ、道は決して開けない」
少女は、勇ましく駆け出す。
「奇跡」が起きようとしていた―――



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