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夜会話-リーハ・アルド
夜会話 リーハ・アルド ◆
第0話 ◆
リーハ:(あんなすごいものが島に
現れるなんて、何があったのかな
すごく気になるな……)
(なんだか、怖いって気持ちすら
湧いてこないくらい、何も
わかんない……)
はぁ……
【アルドがやってくる】
アルド:リーハ、起きてたんだ?
リーハ:うん、ちょっと、考えちゃって
アルド:気持ちはわかるけど、寝なきゃ
ダメだよ
もし、今日みたいなことが里でも
起こっているなら、向こうでも
大変かもしれないよ
リーハ:そうね……今のうちに寝て
おかなきゃね
アルド:明日は早起きして、旅支度しよう
できればバンナのケーキ、焼いて
くれると嬉しいな
リーハ:うん、任せて!
お弁当の代わりにいっぱい
焼いちゃう
アルド:じゃ、おやすみ。リーハ
リーハ:おやすみなさい、アルド
バンナのケーキ、忘れないでね
第2話 ◆
リーハ:(久しぶりにマアバドゥに戻って
きたのに、こんなことに)
(これから、どうなるのかな。
私、どうしたらいいのかな……)
あ……いい風
【アルドが来る】
アルド:リーハ?
リーハ:アルドも風に当たりに?
アルド:うん。今の風は乱れた精霊の力を
運んできて、時々苦しいけど……
それでも、やっぱり風の音を
聞きたくなるんだ
リーハ:アルドらしいわね
アルド:リーハは……ちゃんと元気?
リーハ:どういうこと?
アルド:リーハは時々、自分が辛いの
我慢して、笑おうとするからさ
リーハ:そんなこと
アルド:あるって
リーハ:そうかな?
アルド:これでも弟だからさ、無理に
笑ってるのを見ると、すごく
落ち込むよ
だって、今、無理してるだろ?
なのに僕に気を遣って笑おうと
されると、辛いなぁ
リーハ:アルド……
アルド:ごめん。インジールさんのことも
アインのこともあるのに
そんなこと言うの、筋違いだけどさ
リーハ:私こそ、気を遣わせちゃったわね
ごめんね、アルド
アルド:ほら、もう寝た方がいいよ。
2人のことは、きっとうまくいくよ
そう信じよう?
リーハ:そうね、アルド
おやすみなさい……ありがとう
あんまり無理しないでね
第4話 ◆
リーハ:(御座所に来るなんて、今まで
想像もしなかったわ……)
(それにしても、あんな清らかな
場所までむちゃくちゃに……)
(ちゃんとやっていけるのかな)
【アルドが来る】
アルド:リーハ、何してるの?
リーハ:んー、ちょっとこれからのことを
考えちゃって
考えても無駄なのはわかってるけど
どうしても頭から離れなくて
アルド:そう言えば昔、リーハに
眠れるおまじないしてもらった
ことがあった気が……
リーハ:えっ、どんなのだった?
アルド:えーと、確か頭なでながら歌を
歌ってくれたような……
リーハ:えええええっ!?
アルド:うーん、どんな歌だったかな
リーハ:わっわっ、だ、だだ大丈夫だから!
いきなり眠たくなってきちゃった!
アルド:そう? じゃ、みんなのところに
戻ろうか
リーハ:そうね。そうしましょ!
おまじないが必要なときは、いつでも言ってね
第6話 ◆
リーハ:(アルドと……とうとう
あの時のこと、まともに話した
(ちゃんと話し合って
こなかったこと、怒ってるかな)
(もしかしたら、もう姉弟なんか
じゃないって縁を切られたりして)
ううっ、そんなこと考えたくない
どうしよう……
【アルド、背後から登場】
アルド:どうしたの、リーハ
リーハ:ひゃっ!!
アルド:あ、わかった。お腹が空いて
庭にあるバンナの実を食べに
来たんだ?
リーハ:もう、違うわよ
アルド:じゃ、何?
リーハ:え……その
アルド、怒ってない?
アルド:何を?
リーハ:私のせいで、この世界に召喚
されたこと
アルド:何で?
リーハ:アルドがあんまり憶えて
ないのをいいことに、話すのを
避けてきたこと……
アルド:別に怒ることじゃないよ
だってさ、それからずっと幸せに
過ごしてこられたからさ
僕はリーハと一緒にいられて
すごく嬉しかったし、これからも
一緒にいたいよ
リーハ:アルド……
アルド:実は、内緒でバンナの実を取って
きたんだ。一緒に食べよう
リーハ:うん、ありがとう
(よかった……私たち、これからも
すっと仲良くしていけるわよね)
これからも、ずっと一緒だよ
第8話 ◆
リーハ:(あの施設……マアバドゥとは
全然違っていたわ……)
(壊れていても、大きかったわ
何だか……嫌な感じだった)
【アルド現る】
アルド:リーハ、怖い顔してるけど
何かあった?
リーハ:あ、アルド
そんなに私、怖い顔してた?
アルド:怖いというか、沈んだ顔だった
リーハ:んー、そんなつもりじゃ
なかったんだけど
あのね、召喚使の施設を思い出して
何となくイヤな気持ちになったの
アルド:リーハ……
リーハ:お父さんが召喚使だったから
お父さんの死んだことと、心の中で
結びついちゃってるのかな
あははは、子供みたいよね
もっとしっかりしなきゃ
みんなに心配かけちゃうわ
アルド:僕じゃ頼りにならないかも知れない
けど、ちょっと耳を貸して
リーハ:えっ?
アルド:風の音を聴かせてあげる
きっと心が落ち着くよ
【アルドが笛を演奏する】
リーハ:あ……
アルド:風の音を聞くと、頭から悲しい
こととか、辛いことが消えていくよ
少しでも、楽になってくれると
いいな
リーハ:ありがとう、アルド
もうちょっとだけ、風の音を
聴かせてね
アルド:うん
風の音を聴いて、少しでも楽になってね
第10話 ◆
リーハ:(召喚使って……人間って……
みんなんこと、違うって思ってるの
かなぁ……)
(召喚獣だって、カウスクザフだって
みんな、分かり合える存在なのに
どうして、あんな見方するのかな)
はぁ……
【アルドが来る】
アルド:リーハ、大丈夫?
リーハ:アルド……
アルド:何だか、すごく落ち込んでる
みたいに見えた
リーハ:アルドは……何でも
わかっちゃうんだから
アルド:あははは、どうせわかっちゃうん
だから、さっさと言っちゃう方が
いいよ
リーハ:そう……でも、そうね
ちょっと愚痴っちゃってもいい?
アルド:もちろん。何となく想像はつく
けどね
リーハ:ん……ライラが言ってた言葉が
どうしても気になっちゃって
召喚獣だから、カウスクザフだから
違うって、私、全然わかんない
だって、何も違わないじゃない
みんなちゃんと、心通じ合えるわ
あんな風に言われるのが普通だって
いう場所が、人間の世界……
そんな風に思ったら、人間の私が
イヤになっちゃって……
アルド:そんなことを考える必要はないよ
リーハは僕たちの思いを
考えて、悲しい思いをしてるだけ
僕もリーハもことを悪くなんて
思ったりしないよ
みんな、ちゃんとわかってるから
リーハ:アルド……
アルド:そろそろ寝よう
あんまり悩んでてもしょうがないよ
僕はリーハに笑っていて
ほしいからね
悩んで眠れなくなったりしたら
心配だよ
リーハ:ありがとう、アルド
そろそろ戻りましょう
アルド:うん
あまり悩んじゃダメだよ
第12話 ◆
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夜会話-リーハ・アルド